はじめに
今回の記事ではCBTの4連問についてお話していきます!!
この記事では、実際の症例問題でCBT4連問の特徴をつかみながら、CBT4連問の対策を考えるという内容になっています。
そこで、この記事はこんな人に読んでもらいたいです。
こんな人におすすめ
CBT4連問を苦手としている人
CBT4連問の対策方法が分からない人
CBT4連問について知っておきたい人
こんな方はぜひ最後まで読んでみてください。
筆者の信頼性について、まだこちらをご覧になっていない方は合わせてご覧ください↓↓
-
CBTで9割に到達する勉強法【CBT94%の医学生が徹底解説】
続きを見る
目次
CBTの4連問って?
一番最後ということもあり、モチベーションを保つのが大変です。
一般的に4連問と呼ばれているのは、『順次解答式4連問』のことです。
この『順次解答式4連問』は、一つの大問の中で順番に4つの問題に答えていく形式なんですね。
その特徴は、なんといっても一度答えを確定させると後戻りできないこと!
問題を答えるごとに問題文の続きが表示されていき、一つ前の問題の答えが分かるようなしくみなのです。
ただでさえブロック6で疲れているのに、4連問では一つ前の問題の間違いに気づいてしまうことで、どんどんメンタルがえぐられていきます…笑
CBT4連問は差がつくのか?
結論から言うと、CBTの4連問は差が付きます。
主観で述べているわけではなく、筆者の大学のCBTデータから推測できるのです。
4連問で差が付く根拠
- 大学平均点が6ブロック中最も低かった。
- 大学最低値が6ブロック中最も低かった。(圧倒的に!)
- 大学最高値は満点だった。
- 標準偏差が6ブロック中、一番大きかった。
特に、標準偏差が最も大きかったことから、『CBTの4連問で差が付く』というのは本当だといえます。
では、なぜ4連問で差がつきやすいのでしょうか?
その理由がこちらです。
差が付く理由
- 疾患の総合的な知識が必要
つまり、症状・所見・検査・治療・病態生理まで一貫した知識が求められます。
- 分からないと本当に分からない
1問目、2問目で疾患を推測する力がないと全く分かりません。1症例の流れが分からないと一気に4問失うことも…
- ブロック1~5までに求められる能力と正反対のことが求められる
ブロック5までは知識量を求めらていますが、4連問では臨床情報から疾患を推測する能力が求められます。
このような理由で、4連問では差が生まれやすく、さらには4連問に対しては特別な対策が必要となってくるのです。
(求められる能力が異なるので、4連問は別の対策が必要)
そんなCBT4連問を攻略するために、この記事ではこれから『4連問で何が問われているのか』と『4連問の具体的な対策』を説明していきます。
CBT4連問で問われること
CBTの4連問では、第1問⇒第2問⇒第3問⇒第4問と順次解答していくのですが、各設問で問われることは大まかに決まっています。
各設問で問われること
- 第1設問
原則、医療面接で確認すべきこと。
- 第2設問
身体診察でとくに重要なこと
- 第3設問
診断確定に必要な検査に関すること
- 第4設問
症例の病態生理や生命科学に関すること
こんな感じでほとんどの問題が構成されています。(一部例外あり)
実際の問題ではどんな流れなのかを、具体的な例といっしょにみていきましょう!
CBT4連問の流れ
第1設問:問診スキル
【連問(1/4)】52歳の女性。午前4時頃に右肋骨の下の方が重苦しく、 時々差し込むような痛みを感じて目覚めた。痛みがだん だんひどくなってきたため午前5時に救急外来を受診した。 吐き気はあるが吐いてはいない。小太りである。
この患者にまず聞くことはどれか。
A 血尿があるか。
B 黒色便があるか。
C 残尿感があるか。
D 昨夜、脂っこい食事を摂ったか。
E 家族にも同じ症状の人がいるか。
解答:D
これはかなり分かりやすい例でしたが、たくさんキーワードが散りばめられていますよね。
- 52歳女性(=中年女性)
- 右季肋部痛
- 小太り
- 吐き気
- 夜間に突発
第1設問では与えられた情報から、できるだけ多くの鑑別疾患を挙げることが大切です。
今回は、情報量が多く、身体所見や検査をしなくとも『胆石症』とあたりをつけることができますが、
実際のCBT4連問ではもっと情報量が少ない問題が多いです。
(例えば、発熱を主訴に来院した。医療面接でまず聞くことは?みたいな問題)
ということは何が大切かというと、
疾患⇒症状という思考プロセスではなく、
症状⇒疾患という考え方が必要になるわけです。
これは医師になった時に患者さんの診療を行うときに必要な実践的なスキルです。
このようなスキルを身に付ける具体的な方法は後ほど解説します。
第2設問:身体診察
【連問(2/4)】52歳の女性。午前4時頃に右肋骨下の重圧感と差し込むような 痛みを感じて目覚め、痛みが増強したため午前5時に救急外来 を受診した。悪心はあるが、嘔吐はない。昨夜は中華料理を食 べた。身長 152cm、体重 65kg。体温 37.8℃。脈拍 76/分、 整。血圧 124/78 mmHg。心音と呼吸音に異常は認めない。 腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。
予想される身体所見はどれか。
A 金属性の腸雑音
B 肋骨脊柱角叩打痛
C Murphy徴候
D Blumberg徴候
E McBurney徴候
解答:C
CBT4連問の2問目ではこのように『身体所見』が問われることが多いです。
だいたい1問目の時に疾患が想像つかなかったのに、2問目の情報で疾患が分かることが多く、
『あーー、1問目間違えたーー』
とショックを受けます。笑
ここでは、『胆石症』⇒『Murphy徴候陽性』と考えることができますが、
実は『病気がみえる』の『胆石症』のページには、Murphy徴候について記載されていません。笑
だから、『病気がみえる』で疾患の勉強をひたすらすることが求められているだけでなく、
身体所見⇒疾患という思考プロセスも必要になってくるわけです。
第3設問:検査
【連問(3/4)】52歳の女性。右肋骨下の重圧感と差し込むような痛みを感じて 目 覚め、痛みが増強したため救急外来を受診した。昨夜は中華 料 理を食べた。身長 152cm、体重 65kg。体温 37.8℃。脈拍 76/分、 整。血圧 124/78mmHg。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。右肋 骨下領域に圧痛があり、軽く叩打すると痛みが増強する。 Murphy 徴 候を認める。血液学所見:赤血球 510万、 Hb 14.5g/dL、Ht 46% 、白血球 14,000、血小板 18万。血液生化学所見:総ビリルビン 1.8mg/dL、直接ビリルビン 1.5mg/dL、AST 38 IU/L、ALT 37 IU/L、アミラーゼ 80 IU/L(基準37~160)。
まず行う検査はどれか。
A 腹部単純CT
B 腹部超音波検査
C 腹部エックス線撮影
D 上部消化管造影
E 上部消化管内視鏡検査
解答:B
CBT4連問の3問目では、『検査』について問われることが多いです。
ここで、大事なのが疾患ごとに行う検査を知っていればいい、というわけではないことです。
胆石症の診断に『腹部単純CT』を行うこともあるでしょう。
しかし、【まず行う検査】は低侵襲で有用な『腹部超音波検査』ですよね。
実際の臨床の場では、問診・身体所見から優先すべき検査を自分で考える必要があります。
そのような力がこの設問では問われることが多いです。
第4設問:病態生理
【連問4/4】52歳の女性。右肋骨下の重圧感と差し込むような痛みを感じて目覚め、 痛みが増強するため救急外来を受診した。昨夜は中華料理を食べた。 身長 152cm、体重 65kg。体温 37.8℃。脈拍 76/分、整。血圧 124/78mmHg。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。右肋骨下領域に 圧痛があり、軽く叩打すると痛みが増強する。 Murphy 徴候を認める。 血液学所見:赤血球 510万、 Hb 14.5g/dL、 Ht 46%、白血球 14,000、血小板 18万。血液生化学所見:総ビリルビン 1.8mg/dL、 直接ビリルビン 1.5mg/dL、AST 38 IU/L、ALT 37 IU/L、アミラー ゼ 80 IU/L (基準37~160)。腹部超音波像 ( 白黒表示 ) を示す。
この患者で脂っこいものを食べた後に起こっ た腹痛の発生機序に関わるホルモンはどれか。
A モチリン
B ガストリン
C セクレチン
D ソマトスタチン
E コレシストキニン
解答:E
CBT4連問の4問目では、病態生理が中心に出題されますが、筆者の経験上パターンはたくさんあります。
ただ、共通しているのは情報は全て出ているので、臨床推論能力というよりは疾患に関する知識に近いです。
vol.2,vol3で培った知識が活かされやすいので、4連問の中で苦手にしている人は少ない印象です。
ここまで見ていかがでしたでしょうか。
4連問って難しそう…って感じますよね。
そこで、具体的な対策を考えていきましょう。
4連問の対策
ここまで見ていただいた方はお分かりかと思うのですが、まずは疾患の知識が必要になります。
そこで、クエスチョン・バンクのvol2,vol3を一通り終えてから4連問の対策をしましょう。
まだ、vol.2,vol3には手を付けてないよ、という方は、
4連問を意識して各疾患ごとに症状・所見・検査を理解しながら解き進めましょう。
また、基本的に4連問では、マニアックな疾患は出題されません。
(出題されたとしても採点対象外の可能性が高い)
4連問の対策を行う際には、各診療科ごとにCommon diseaseを整理していくのがいいでしょう。
例えば、『病気がみえる vol.1 消化器』の中で考えると…
- 急性の経過で、右下腹部痛
⇒急性虫垂炎を疑う。問診は?身体所見は?検査は?治療は?
- 若年者の慢性の腹痛・血便
⇒炎症性腸疾患を疑う。問診は?身体所見は?検査は?治療は?
とこんな感じで臓器ごともしくは診療科ごとに考えてみることが大切です。
それでは、各設問ごとに対策を考えていきましょう!
第1設問:問診
第1問目は難しいことも多いです。
第1設問の答えに納得のいかない問題もチラホラあります。
(逆に常識で解ける簡単な問題もあり)
特に、『問診する必要がないことは?』みたいな問題は個人的には嫌いでした。
実際は全部患者さんに聞く必要があることが多いですからね。
とにかく、高得点を目指している人でも第1設問に関しては10症例中8問正解すれば上出来くらいの心持ちで臨みましょう。
さて、具体的な対策法を考えましょう。
まず、vol.2,vol3で培った各論的な知識を生かして総論的な知識を入れましょう。
つまり、『症候学』の勉強をしようということです。
よく言われるであろう『疾患の勉強が縦の糸なら、症候学は横の糸』みたいな話です。
そこで、医学生が知っておくべき『症候』を挙げてみます。
(すみません、網羅するのはきつかったです…)
(身体所見と症候が混ざってて分かりにくいです…)
知っておくべき『症候』
- 消化管
⇒消化管出血(吐血・血便・下血の違いを抑える),嚥下困難,胸やけ,悪心,嘔吐,腹痛,腹部膨満,下痢,便秘,しぶり腹
- 肝胆膵
⇒黄疸,腹水,門脈圧亢進症,肝性脳症,右季肋部痛
- 循環器
⇒胸痛,チアノーゼ,動悸,失神,頸静脈怒張,浮腫
- 呼吸器
⇒呼吸困難,ばち指,喀血・血痰,
- 腎臓
⇒多尿,乏尿,血尿,頻尿
- 神経内科や整形外科
⇒肩こり,腰痛,運動麻痺,筋力低下,歩行の異常
- 全身症状
⇒発熱,全身倦怠感,高血圧,肥満,体重減少,口喝・多飲,多毛,色素沈着,関節痛,頭痛
- 女性特有の症候(産婦人科領域)
⇒無月経,月経過多
大学の講義では、『医学生は30症候挙げられるように』と言われていました。
なので、みなさんもCBT4連問対策として症候をいくつか挙げてみて、その症状をきたす疾患を勉強していきましょう。
最低でも、赤字にした症候だけは押さえておいてくださいね。笑
あと、腹痛といっても部位によっても違いますし、胸痛といっても循環器系の疾患とは限らないわけです。
診療科をまたいで症候をまとめてみると『臨床推論』の力がぐっと付くと思います。
ひとつ忘れがちなのが、『産婦人科領域』の問診・症候です。
CBT4連問の10症例中、1問くらいは出題される可能性が極めて高い…💦
臨床の場では、『若い女性をみたら妊娠を疑え』という格言もあるそうなので、産婦人科領域の問診と症候、また妊娠の有無には十分気をつけましょう。
第2設問:身体診察
2問目で検査を問われることもありますが、身体所見から疾患を想起するプロセスがやっぱり大事です。
先ほどの症候一覧に混ざってしまっていますが、
例えば、CVA叩打痛があったらどんな疾患を想起するのか、Murphy徴候って名前は知っているけど何を調べているのか、
という風に身体所見の目的・方法・そこから挙げられる鑑別疾患という風に整理していきましょう。
また、固有の名前が付いている徴候などはやはり出題されやすいです。
呼吸器範囲だったら…
- coarse cracklesを聴取する疾患
- fine cracklesを聴取する疾患
- wheezesを聴取する疾患
- rhonchiを聴取する疾患
あたりは特殊な名前なので頻出です。
また、上記のように疾患⇒呼吸音という風に考えるのではなく、呼吸音⇒疾患を考えるトレーニングをしましょう。
呼吸音ごとに疾患をまとめてみるだけで力が付きますよ!
一応、循環器範囲の例も挙げておくので参考にしてみてください。
(例)Graham Steell雑音やAustin Flint雑音など
※特殊な名前のものだけでなく、『Ⅱ音の固定性分裂を聴取する疾患』というようなものも整理していく。
さらに少し発展的ですが、OSCEで行う身体診察では、
- バイタル(発熱や高血圧等)
- 視診(チアノーゼなど)
- 聴診(呼吸音・心音など)
- 触診(肝腫大など)
- 打診(鼓音など)
などがあります。
このような実際の身体診察の流れに沿って、想起される疾患をまとめても良いと思います。
第3設問:検査
ここまで何度も症状⇒疾患の思考プロセスが大事と言いましたが、
検査でも同じように検査⇒疾患の思考プロセスを大切にしましょう。
例えば、間接ビリルビンが上昇する疾患、直接ビリルビンが上昇する疾患という風にまとめていくのです。
溶血性貧血⇒間接ビリルビンの上昇という知識も大切なのですが、検査所見を主役に考えてみるのがいいかと思います。
結構、検査でグループ分けしていくことは大切ですよ。
消化管内視鏡検査を行う疾患は?ERCPを行うのは?
という風に自分でいくつか挙げてみましょう。
また、これも身体所見と同様、特殊な検査は出題されることが多いです。
(例)再生不良性貧血⇒骨髄生検など
例はあまりよくないですが、『この検査はこの疾患にしかしないな!?』と思ったら覚えておくといいかもしれませんね。
第4設問:病態生理など
CBT4連問の第4問目には特に対策はありません。笑
情報がすべて出ているので、臨床推論能力より知識が問われるからです。
基本的に、vol.2,vol3の演習をしっかり行えば問題ないと思います!
まとめ
ここまで長い間読んでいただきありがとうございました。
CBT4連問は他のブロックと異なる問題形式で、さらに求められる能力も異なるということを分かっていただけたでしょうか。
CBT4連問を攻略して、ぜひCBTの正答率アップにつなげてください。
また、CBT4連問をいつ頃対策すれば良いかという質問も多いです。
確実に言えることは、vol.2,vol.3である程度知識を固めてからです。
CBT4連問の点数は、他分野以上にCBTが近づくにつれて伸びていくはずです。
早い時期に4連問に慣れておくことは大切ですが、CBTが近づいて対策をしても点数UPが見込めるのでがんばってください!
あとは、クエスチョン・バンクをたくさん解いて経験を積んでください。
最初は難しくても少しずつできるようになるはずですよ!
また、Twitterで質問も受け付けていますので、何か聞きたいこと、書いてほしい記事のテーマ等ありましたら遠慮なくおっしゃてください。
みなさんのCBTの合格を心より祈っております。